製本・折加工相談センター日記

製本・折加工相談センター長が紙の加工についてとことんお話しします。

自社商品 toreruno(トレルノ)開発記録 2.色々なノートの製本方法

皆さん、こんにちは!

 

今回はtorerunoの作り方をお話ししようと思っていたのですが、

それにはまず「市販のノートはどのように作られているか」をお伝えしなければ

その違いが分からないなと思い、まず市販で売られているノートがどんな作り方を

されているかお話したいと思います。

 

お店に行くといろいろなノートが並んでますよね。

大学ノートと呼ばれるようなシンプルなノートから、おしゃれでかわいいノート。

無地のノートもあれば、方眼ノートや罫線ノート。

またサイズや厚みもさまざまですよね。

 

そんな見た目の違いもさることながら、私たち本を作る側からすると

ノートそれぞれの製本方法(作り方)もそれ以上に気になったりします。

(↑職業病というヤツ)

 

とは言うものの、なかなか皆さんにはわかりにくいところだとは思うので

今回はココを簡単ではありますが説明させていただきますね。

 

ノートの製本方法はいろいろありますが主に

・糸かがり綴じ

・糸ミシン綴じ

・針金綴じ(中綴じ)

・無線綴じ

こんなところ。

 

 

『糸かがり綴じ』

手帳やダイアリーなどに多く用いられる綴じ方で、

簡単に言うと折った本文の用紙を糸を使って重ね合わせて一冊のノートにする

製本方法です。

 

この製本方法のメリットは、開き具合も良く使いやすいこと。

 

ただ製本作業工程が多いためにどうしてもコストが少々高くなってしまいます。

 

個人の方が数冊、数十冊だけ作りたいという時には金額がかかりすぎてしまうのがデメリットです。

糸かがり綴じ図解

 

糸かがり綴じで作られたノート

『糸ミシン綴じ』

ノートの定番と言ったところでしょうか。

ノートの真ん中のページを開き、その中央部分に上から下までミシン機械で糸を

縫う製本方法です。またこのノートの表紙には縫った糸がほつれないように背にテープが施されているのがほとんどです。(よくありますよね、黒いテープが付いてるやつ。)

 

このノートのメリットは開きが良く書きやすいところ。

 

逆にデメリットは先の『糸かがり綴じ』ほどではないですが、糸を縫う、そしてテープを施すというように、工程が多くなるためこちらも少々金額がお高め。

またミシン機械で縫うので、あまりページ数の多いもの(厚みのあるもの)には不向きです。

糸ミシン綴じ図解

糸ミシン綴じで作られたノート

『針金綴じ』

一般的に言う中綴じです。

フリーペーパーや雑誌などに多く用いられる製本方法で、冊子の中心部分に針金を2カ所打って冊子にします。

 

『糸ミシン綴じ』と同様、開き具合が良いことと、大量生産に向いているため安価に作れるところがメガトン級のメリットですw

 

ただ、長く使ったり、扱いが雑だと針金の部分から本文が外れてきてしまうことがデメリットでしょうか。あと、針金が危ないということで小さなお子さまには不向きですね。

中綴じで作られたノート



『無線綴じ』

糸を使ったり針金を使うことはせず、本文に接着剤を塗布して表紙を引っ付けてしまう製本方法です。並製本(なみせいほん)とも呼ばれ、分かりやすいところで言うとカタログや学校の文集などもこの製本方法が多く用いられます。

 

こちらも大量生産に向いていて比較的安価に作ることが出来るのがメリットですが、

他の製本方法に比べて開き具合が悪いため、ノートとして使うには書きづらいことがデメリット。

 

無線綴じで作られたノート

 

こんな感じで簡単ですが主な製本方法について書いてみましたが伝わりましたでしょうか。

 

他にも金属製や紙製のリングで綴じたリング製本、その会社さん独自の製本方法で作られたノートがたくさんあります。

文具店やノート売り場に行かれた際はどんな製本方法が使われているかにも

注目してみると面白いかなと思います(*^^)

 

次回はいよいよtorerunoノートの製本方法について。お楽しみに!

自社商品 toreruno(トレルノ)開発記録 1.商品ができたきっかけ

皆さまこんにちは、天白製本紙工です。

無事に2回目の更新が出来てほっとしています。

(これを書いているときはまだ更新できていないんですがね…ウフフ…書き上げられますように…。)

 

さて、今回は前回ご紹介したtoreruno(トレルノ)が出来たきっかけをお話ししたいと思います。

 

きっかけは「みんなのノートプロジェクト」

弊社では2021年8月から 「みんなのノート」と言って余った紙を使ってノートを作成し、会社の敷地内で配布するプロジェクトを始めました。

2020年1月にコロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてからずっと何とも言えない閉塞感や不安感が毎日漂っていたのをよく覚えています。

そんな中せめて地域の子どもたちの為に何か出来ないかと思い始めたのがきっかけでした。

みんなのノート

配布風景

 

みんなこんなところに製本会社があるなんてきっと知らないし、

誰も持って行ってくれないかなと思っていたのですが

子ども達が予想以上に喜んでくれて、書いたものを見せてくれる子や、

ノートの御礼のお手紙をくれる子どもたちや保護者の方もいらっしゃいました。

 

そんな中で、「1枚ずつきれいにページを取りたい」と言う子に出会い、

サービス精神旺盛な弊社の社長が「よし!作ってあげよう!」と作り始めて出来たのが

toreruno(トレルノ)の始まりです。

 

手書きっていいな

最近は子供から大人までパソコンやスマホでメールや文書が書ける時代になり、

手書きで書くことが少なくなったなと感じている方も多いのではないでしょうか。

 

私たちもこうやってどんどん紙の需要が減っていく中で何を作ったらいいんだろう、とひたすら悩んでいました。

正直作りたいものと言うより何を作ったら売れるんだろう、バズる為にはどんなものを作ったらいいんだろうと考えていたような気がします。

 

しかし、ノートに書いたものを嬉しそうに見せてくれる子供たちを見たり、使いやすいと言ってくれるのを聞いてもっととことん使いやすいノートを作ろう!という気持ちになりこのノートが完成しました。

 

私たちは長年携わってきた製本技術を活かし、このノートを作ることで紙の心地よさや手書きの楽しさをもっとみなさんと共有できたらと思っています。

 

 

長くなってしまいましたが以上がtorerunoが出来たきっかけです。

次回からはいよいよノートのひみつについてお話出来ればと思っています。

次回もお楽しみに!

 

 

 

 

 

 

自社商品 toreruno(トレルノ)開発記録

みなさんこんにちは、製本・折加工相談センター(天白製本紙工)です。

前回UPした記事からなんと2年が経過してしまいまして驚いています。

本当に申し訳ございません。

 

しかもブログ始めます!から続きが書けていないという何とも恐ろしい事態で

もう…無かったことにしようかな…と魔が差しましたが、

せっかくバナーを作って頂いたのでここからまた心機一転始めようと思います。

 

頑張って続けていきますのでどうぞよろしくお願いいたします!

 

自社商品ができました!

さて最近の天白製本紙工はと言うと、念願の自社商品ができました!!

一見普通のノートなのですが、180度フラットに開くのに1枚ずつきれいに切り取れる

ノート、その名もtoreruno(トレルノ)です。

 

ノートって「このページ切り取りたいな」と思ってもハサミを使わないとこんな風にびりびりに破れてしまうじゃないですか。

 

ビリビリ

 

それを何とか1枚ずつきれいに切り取れるようなノートが出来ないかと作ったノートがtoreruno(トレルノ)です。

見てください、このきれいな切れ口!

 

toreruno

次回はこのノートが出来るまでの経緯や思い、もう少し詳しい特徴・仕様などをお伝え出来ればと思います。

 

次回をお楽しみに♪

 

 

ちなみに

このtorerunoですが、全4色で展開中なのですがまだ購入サイトが整っておらず

大変申し訳ございません…。

気になる方はお気軽にお問合せフォームよりご連絡ください♪

左からインディゴ・ルージュ・オリーブ・ストロー 全4色

 

 

 

はじめまして!

はじめまして。10年前に「製本・折加工相談センター」を立ち上げ、そのセンター長として10年が経ち、最近は印刷会社さんだけでなく他の業界の方や一般のお客様からもたくさんのお問合せをいただけるようになりました。

 

 そこでもっと本や製本のことを知ってもらいたい、もっと本づくりのことをわかりやすく伝えることはできないだろうかと考え、ブログを始めることにしました。

 

創業者である現会長の父の跡を継ぎ、修業時代を含めると製本業に携わって早30年。長年の経験で培った技術と知識を基に新しいことにもどんどん挑戦していきます。

 

頑張って更新していこうと思いますのでどうぞよろしくお願い致します!

 

インスタやってます♪

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